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老舗企業×組織改革 変われない組織 に挑む奮闘が始まった【第5話】

揺れ始めた組織。管理職改革の火蓋が切られる―

こんにちは、24期生の竹内正之です。

 

 新年度に向けた管理職改革が、ついに動き出した。外部講師による全3回の研修カリキュラムがまとまり、部長・課長を対象とするプランが役員会で共有された。本来なら前向きに議論が深まるはずの局面だった。

 しかし、提出された内容を見た私は、強い危機感を覚えた。

 この会社では、管理職が基本的な所作さえ身についていない。部下の前で会社批判・上司批判を平然と口にし、社内での提案制度を利用した提案でも「提案はした、あとは経営側で実行してくれ」と責任を放棄する文化が染みついている。

この土壌のまま研修を始めても、何も変わらない。
だから私は言った。

「初回に管理職の心構え・知識・所作・役割の基礎講座を追加すべきです。ここを飛ばせば研修は形骸化します。」

 当然、追加費用が必要だ。
そこへ、ある役員がすかさずこう口にした。

「……もう少し安くならないのか?」

 研修の本質でも、効果でもなく、まず「値切り」。問題の核心には触れず、目先のコストだけを見る。改革を進める側として、胸の奥に冷たいものが落ちた。

 一方、他の役員たちは何も発言しなかった。表情から読み取れるのは「よく分からないから人事の言う通りでいい」という空気だけ。
 役員は本来、提案を咀嚼し、疑問をぶつけ、組織を導く立場だ。鵜呑みにするだけの「役員らしさの欠如」こそ、会社が長く停滞した理由だった。

 そんな空気を象徴する人物が、議事録担当の役員だ。私はこの1年間、議事録の構造・書き方・要点整理について繰り返し指導してきた。だが、改善は一切見られない。

 ついに彼はこう言い放った。

「そんなに指摘されるなら、もう書記は別の人に替えてください。私の性格では、このような議事録の書き方になりますので。」

 私は、言葉を失った。
彼にとって議事録は「自由に書くもの」で、「組織の意思決定を正確に記録する責務」という認識は欠片もないのだろう。何が足りなくて指摘されているのか。どう改善すべきか。そう考える気配が一切ない。その表れとして「私の性格では、このような議事録の書き方になる」と発言したのだろう。

 これは単なる一人の問題ではなく、基準不在のまま運用されてきた組織構造そのものの弱点である。だが、会社は新年度を迎える。1月1日付の体制に合わせ、11月28日に人事異動の発表が決まった。社内の動揺は避けられない。一定数は辞めるだろう。長年、社員の「好きにさせてきた」ツケが、一気に表面化する。それでも、止まるわけにはいかない。

 社長と二人きりで確認した。

「反発があっても、人が辞めても、やるしかありません。」
「ああ。今ここで変えなければ、本当に会社が壊れる。」

 人事異動当日はやはりざわついていた。そして、社内には、これまで眠っていた大きな「揺れ」が確実に起き始めている。

 改革の本番は、まだこれからだ。